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2002年に国会に提出された人権擁護法案は、人種や信条などのような伝統的な差別事由だけでなく、障害、疾病、そして性的指向などを理由とする差別をもその規制対象としていた。
2007年にはパートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)が改正され、限定的ではあるが、一定の条件が満たされた場合にはパートタイマーと正規従業員との間の差別的取扱いが明文で禁止されることとなった。 パートか正社員かという「雇用形態」の違いも差別禁止法のターゲットとなったのである。
性的指向や雇用形態に基づく差別が「いけない」ものだと、果たして昔の人は思っていただろうか。 そして、エイジフリー政策の下で年齢に基づく差別が「いけない」ものとなりつつあることは今さらここで言うまでもない。
このように、これまでは必ずしも法で禁止されるべきとは考えられていなかった差別の「事由」が、差別禁止法の対象となりつつある。 さらに差別が禁止される「局面」もまた拡大しつつある。
たとえばアメリカの差別禁止法は、採用・昇進・解雇など雇用の場における差別だけでなく、入学・卒業など教育の場における差別、住宅入居時の差別などもその対象としている。 日本でもこれら雇用以外の局面における差別を一定の法的規制の下におくべきではないかという声は高まっている。

さらには禁止される差別の「形態」にも変化がみられる。 2006年の男女雇用機会均等法改正により、いわゆる「間接差別」が部分的にではあるが禁止されることとなった。
今後は、性別を直接の理由とする差別だけでなく、労働者の性別以外の一定の事由(身長、体重など)を要件とする措置も、「実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある」場合には違法と判断される可能性がある(均等法7条)。 現在はまだ違法な間接差別となる行為は性差別のみであり、かつ厚生労働省令が定める一定の行為に限定されているが、諸外国の差別禁止法ではより広範に間接差別一般を禁止している例も少なくない。
このような差別概念の広がりは、社会における人権意識の高まりを示すものといえよう。 この流れに沿って、「年齢差別は人権侵害」という意識も徐々に社会に浸透していくのではないだろうか。
「人権」の範囲は、今後広がりこそすれ狭まりはしない。 いったん広がったら狭まることはおそらくない。

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